
富山コミュニティー論・自分史編
皆さまこんにちは、看護学科の宮城です。
立山連邦も白く雪化粧し、射水市の街中なども雪で白く染まり冬景色となりました。
さて、冬の寒さを吹っ飛ばすために、本学の学生たちが地域に密着し市民の方と交流の機会をもたせていただいた、心温まるお話をしたいと思います。
今回のリレーメッセージ「富山コミュニティー論・自分史編」です。
本学では、看護学科1年次後期の演習のなかに「富山コミュニティー論」という必修科目があります。

地域の方々との関わりには様々な形があります。学生は小グループに分かれ、地域の中で情報収集をおこないました。
私たちのグループは、連携協定を結んでいる氷見市の地域包括支援センターより本学へ依頼があり、「自分史作成モデル事業」として活動の機会をいただきました。
「自分史」の題材として「聞き書き」を提案し、地域の方との関わりを重視しました。
さて、皆さまは「聞き書き」ってどんなことをするのかご存じでしょうか?
簡単にご説明いたしますと・・・

この本の中には、語ってくれた方のこれまでの人生で、うれしかったこと かなしかったことが、まるで宝石箱のようにつまっているんです。(引用文献:小田豊二、ワークブック「聞き書き」をはじめよう、図書出版木星舎、2014)

学生10人は「聞き書き」の学習や事前学習、訪問の事前打ち合わせを繰り返しました。学生3~4人を1グループとして、氷見市内の3件のご自宅にそれぞれ分かれて訪問しました。
語ってくださったことは・・・
〇結婚のこと
〇家族のこと
〇昔の暮らしのこと
・・・想像もつかないようなお話がたくさんありました。
訪問後、学生たちは「こうだったよね」「こんな言い方だったよ」と語りを振り返りながら、その方の自分史を完成させました。
出来上がった本を、半ば緊張気味で対象者のお宅に伺ってお届けしてきました。
お一人おひとりが、本を手にしてとっても喜んでくださいました。

本学の看護学科では、高齢者看護学実習でも、この「聞き書き」に取り組んでいます。
学生が手掛けた一冊の本を対象者さんへお渡しする時、ご本人さんはもちろんのこと、ご家族の方からも大変喜んでいただきます。
その中でも、特に印象に残っている息子さんの言葉があります。
「今まで(本人から)じっくり話しを聴いてあげたことがなかったー。へぇ~、おふくろの若いころに、こんなことがあったんやー。苦労して育ててくれていたんやなぁー。」「これ(本)大事にするちゃー。おふくろの話しをじっくり聞いてくれてありがとう。」
照れくさそうにし、また瞳を潤ませて語っておられたことが今も私の心に残っています。
また、短大へ問い合わせが入ったこともありました。「葬式で親戚のもんに配りたいから原稿(聞き書き)をもらえないか。」と。
この話しを耳にして、驚きとともにお役に立てているという嬉しさが込み上げてきたことも記憶の中にあります。
地域の方と交流を図り、「自分史(聞き書き)」を通して、
聴き手である学生は、当時の生活様式などを知ることができました。生き方や知識を学ぶことができます。また、語りを聴くという技術を磨くことができました。そして、語りをまとめる文章能力も磨くことができました。
語り手の方は、自分の語りをじっくりと聴いてもらうことで、認められている自分にも役割があると感じられ生きがいや幸福感が得られていました。活き活きと語ってくださり自然に笑顔がこぼれていました。
家族や地域の方へ、文字におこすことによって世界に一つの物語が残りました。
いつでも本を開いて、想い出を懐かしむことができていました。
本学では、今後も授業や、実習、サークル(ふくたん聞き書き隊)において活動をしていきたいと考えています。
この「自分史(聞き書き)」は、お年寄りの方に関わらず誰がどこで誰に対しても、紙と鉛筆さえあればできます。
あなたも、この「聞き書き」をなさってみませんか? きっと、心が温かくなりますよ。

今年も、あとわずかとなりました。
1年間、ご愛読いただきありがとうございました。
新年も、学生そして教員ともども宜しくお願いいたします。
長文になりました。最後まで読んでくださり有り難うございました。