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リレーメッセージin看護―103

 こんにちは。今回のリレーメッセージを担当する看護学科の蘭です。大寒波が日本列島を包み、少し和らいできましたが、これから大寒を迎えて寒さはひとしお厳しくなる時期ですね。


 本学は、福祉の総合短期大学としての特色を活かして、市民講座、実務者の研修・研究支援、教員の地域福祉行政への参画など社会貢献を行っています。

 私は今回、療養型病院の人材教育の一環として、「スピーチロック防止に向けて~ユマニチュードの活用~」というテーマで看護師、介護職に対して研修を行います。

103gou-1.jpg 「スピーチロック」は言葉によって行動を抑制・制限することで、手足・体幹をひもで縛る「フィジカルロック」、抗精神病薬の薬物を使用し行動を抑制・制限する「ドラックロック」同様、身体拘束にあたります。

 スピーチロックの具体例として、「動かないで!」「立ったらだめ!」や、「何でそんなことをするの!」のような叱責の言葉が対象となり、心理的虐待のひとつとして捉えられています。

 このほか、「スピーチロックは、身体拘束からの側面だけでなく、不適切なケアから高齢者虐待へつながる可能性も否定できない」とされ、「○○ちゃんの呼称」「無視の態度」についても、スピーチロックに含まれるケースとして報告されています。

 このように、スピーチロックは多義的な意味を内包しているため、概念が明確になっておらず、そのため廃止に向けた取り組みについても、個別に認識され対応しているのが現状です。



 研修を依頼して下さった療養型病院では、高齢者ケアへの認識不足や、職員の不足等による業務過多から生じる職員の言葉遣いや態度が問題になっています。注意しても「なぜ私だけに注意するんですか?」と逆ギレされることもあるそうです。

 献身的にケアをする職員ももちろんいるので、高齢者ケアに携わる専門職として、どのような態度で患者と向き合えばよいのか、それぞれが再認識し、患者に寄り添ったケアができるように組織全体で取り組んでいくことが必要になります。


 そこで研修では、高齢者に寄り添ったケアを行うために有効とされるケアメソッド「ユマニチュード」を紹介しようと考えています。 「ユマニチュード」とは、「ケアをする人とは何か」「人とは何か」を問う哲学と、言語・非言語によるコミュニケーション技法に基づいた、立位補助、食事介助、清拭、入浴、更衣などの実践的な技術で構成されたフランス生まれのメソッドです。すでに10カ国の医療・介護施設で導入されており、その効果は、ときに劇的であることから"奇跡""魔法"と称されることもあります。

 さまざまな困難に直面している高齢者ケアに光を与えるだけでなく、ケアする人のバーンアウトを防ぐなど、ケアを受ける人、行う人双方に"明らかな変化"をもたらすとして注目を集めています。


103gou-2.jpg 〈見る〉〈話す〉〈触れる〉〈立つ〉を4つの柱とするユマニチュードのケア技術は、日常ケアのなかで使える極めて実践的な技術で、"話しかけながら相手に触れる"といったように、常に2つ以上の要素を組み合わせて行い、さらにケアの全てを「心をつかむ5つのステップ」という一連のシークエンス(一続きのもの)のもとに行っていきます。

 「5つのステップは、①出会いの準備、②ケアの準備、③知覚の連結、④感情の固定、⑤再会の約束、から構成されます。5つの段階のなかで、清拭などのいわゆるケアを実施するのは③のステップで、その前には、自分の存在を知らせる出会いの準備をし、ケアの後には、『きれいになって気持ちよかったですね』と語りかけるなどポジティブな感情を伝え、次回へとつなげる締めくくりをします。

 よくあるケアの場面では、ドアをノックすることはあっても、相手の反応を待たずに布団をはがし、入室した数秒後にはおむつに手をかけてしまっていることがあります。これでは、コミュニケーションにおける重要な手順である①②をとばして、いきなり③のケア行為に入っていることになります。



 忙しいケアの現場では、「そんな時間は取れません」と言われそうですが、相手の反応を見ながら①②➃⑤の言葉がけをするのに5分もかからないと思いますが、どうでしょうか?

 また、いつも実践している人にとっては、当たり前のことと認識されるかもしれません。


 研修で対象者がどんな反応をされるのかドキドキですが、 上手くお伝えすることができるように頑張りたいと思います!


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